雨のワルツと月のダンス
僕たちは今楽器屋に来ている
矢野さんのベースと
僕のスティックを買いに来たわけだ
矢野さんはジーンズにTシャツ
そして前髪は上でくくっている
明らかに気合いの入っていないその格好に興奮したのは言うまでもない
「どれにしようかー?」
城島先輩は今日もニコニコしている
「んー。全然わかんないですね」
矢野さんは首をかしげている
「そうだよね。初めてだもんイマイチピンと来ないよねぇ。」
「僕はどれを選べば良いですか?」
「スティックは消耗品だから色々試すと良いよ。手に馴染むのがきっとあるから」
「なるほどー」
「あっ!」
矢野さんは聞いた事のない声をあげた
「どしたの?」
「あの黒いベースになんだかそそられてしまって…。」
矢野さんは何故か照れくさそうに言った
「そか。んじゃとりあえず試奏してみようかー」
言いながら城島先輩は店員さんを呼んだ