あしたなど・わかってたまるか・コノヤロー
音無だ。
出やがった。
やかましい音無。


職員室におとなしく居りゃあいーもんを、どこをほっつき歩いてんだか、なぜかろーかに居やがる。

「音無せんせー、職員室に居るんじゃなかったんですか〜」

井出がオレの疑問を代弁した。
てーねいな言い方で。

『オイ音無、何デカイ図体でほっつき歩いてんだよ』って言ってやりゃあいいのにな。

井出は気がちいせぇからな、言えるワケねぇか。


「田口、おまえの来るのが遅いからトイレに行って来たんだよ。井出も一緒にどうした」

「進路希望の提出です」

井出は、きたねー紙を音無に差し出した。

「よし。じゃあ井出は戻っていいから、田口来い」


エラソーなオッサンだぜ。
井出が戻ろーが居よーが、何しよーが、井出本人に決めさせてやれよ。
井出がカワイソーだろうが。

戻れと言われた井出は「妖精の話は後でな」をオレに残して、おとなしく立ち去りやがった。
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