あしたなど・わかってたまるか・コノヤロー
音無からも解放されて、どーでもいー午後のじゅぎょーも終わって、オレと井出だけ教室ん中に居た。

川脇は塾があっから早く帰りやがったし、他の奴らも部活行ったり、どっか行ったり、フツーに帰ったりしてるみてー。

ユリが、「田口君、帰ろー」って言ってきやがったけど、「オレ今日、井出と残っから」つったら、つまんなそーに帰って行きやがった。




「…けど田口、音無が物分かりのいいオッサンでよかったよな〜」

「まぁな。あいつ、情にもろいからな。せーとのきもち、を考えたんじゃねぇのか?」

「音無、すげぇいい奴だなぁ。
なぁ、そういや、おまえの妖精の事だけどさぁ…」
「なぁ、何なのあいつ???」


井出の言葉をさえぎってやった。

「え、何なのって何だよ?」

「あいつ、人間なのか?」

「人間じゃねぇかもなぁ。カワイーよなぁ」

井出からしたら、あの、沢辺って名前の妖精は、カワイー生きもんらしい。

まぁ、妖精はカワイー生きもんだろな、たぶん。
こえぇ顔で、黒髪にヒゲのごついオッサンとかが妖精だったら、誰も妖精とは思わねぇもんな。
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