現実(リアル)-大切な思い出-
「はぁ?だって体育館はこっち‥「その体育館が、昨日の雨のせいで使えねぇらしい。ボロだから、雨漏りで悲惨な状態なんだとさ」」


「マジかよ!?」


そいつは驚く俺を見て、笑いながら頷いた。


「お前、裏門から来ただろ?正門にしか案内出てなかったから、仕方ねぇよな。ちなみに、俺も裏門から来た」


「ってことは、どっちにしろ遅刻かよ」

俺はため息を付き、そいつを見た。

「サンキュ!おかげで無駄足にならずに済んだ。けど遅刻かぁ‥行きたくねぇなぁ。でも行かなかったら、瞬輝が五月蝿そうだしなぁ…」


「シュンキ?」


「俺の友達!そういや同じ1年なんだろ?名前教えてくれよ。俺は時久 彗(トキヒサ スイ)」


「柳 朱月(ヤナギ シュヅキ)だ」


「シュヅキ?変わった名前だな」


「お互い様だろ?」

そう言って、朱月は笑った。


俺を見て、これほどまでに反応のないヤツは初めてだった。


それが本当に新鮮で、不思議な感覚だった。
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