現実(リアル)-大切な思い出-
朱月の第一印象は“良いヤツ”だった。


一瞬ですれ違った他人をわざわざ引き止め、正しい情報を与えようとする人間が、この世の中にどれくらい居るだろう。


俺だったら、きっとしない。
訊かれれば答えるだろうが、わざわざ引き止めてやるなんて、そんなこと…。

俺だったら、できない。

自分の勘違いだったら恥ずかしいし…。

そんなことを考えていると、ますます朱月の親切心に感動してしまった。


「朱月!!」

俺は、歓喜あまって朱月の両肩を掴んだ。

「お前って、めちゃくちゃ良いヤツだなっ!」
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