現実(リアル)-大切な思い出-
何年も一緒に居たわけではないが、それでも何となく判る。

朱月は優しすぎて、損をしている。

いつだって自分のことよりも先に、誰かのことを考える。


きっと朱月は、自分が幸せになることで誰かを不幸にしてしまうとしたら、自分の幸せを諦めるような人間。

偽善者だと言ってしまえばそれまでだけど、俺にはそんな朱月が憎めなかった。

腹が立つけれど、そんな朱月だから、俺は朱月と友達になりたいと思ったのだ。

やっぱり俺は、そんな朱月を嫌いになれない…。
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