現実(リアル)-大切な思い出-
ある日の放課後、俺はクラスの友人達と話をしていた。

一緒に帰るはずの姉さんが、日直の仕事で遅くなっていたからだ。


「にしてもさ、響って姉ちゃんと仲良いよな?」


突然の話題に、俺は首を傾げた。


「だってさ、今時居ねぇだろ‥中学にもなって、姉弟で仲良く登下校なんて」


「確かにな。結構噂になってるぜ?」


その話に、俺は驚きを隠せなかった。

確かにいつも一緒に登下校していれば、噂にならない方がおかしいのかもしれない。

だけど、俺は一度もその噂を耳にしたことがなかった。


「まぁ良いんじゃねぇの?1歳しか離れてねぇなら、友達みたいなもんだろ。それに響、お姉ちゃんが大好きだもんなぁ?」


からかわれていることは、その表情を見てすぐに判った。

それなのに、このときの俺は、それを受け流すことができなかった。

考えてみれば、この年で姉と登下校なんて変だ。

シスコンとからかわれたって、不思議ではない。

そう思うと、急に恥ずかしくなった。

だから、あんな思ってもいないことを、口走ってしまった。
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