現実(リアル)-大切な思い出-
それ以来、俺と姉さんは一緒に登下校をすることがなくなった。

家でも、必要最低限の会話しかしていない。

それは、姉さんが俺を避けているから‥と言うよりは、避けられる前に、俺が姉さんを避けていたからだ。

怒っていないはずがない。
いや、怒っているだけならまだマシだ。

俺に何も話し掛けようとしない姉さんを見て、確信した。

俺は完全に、姉さんに嫌われてしまった。





「なぁ望月、何で最近お姉ちゃんと一緒じゃねぇの?」


ある日の休み時間、そんな風に声を掛けられた。

机に肘を突いた状態で、視線だけを上げる。

クラスメイトだが、殆ど話をしたこともないヤツだった。


「別に‥理由はないよ」


「ふぅん?俺の聞いた噂じゃ、お前が嫌がったからだってなってるけど?」


また、噂が流れているのか。

だけど、予想は付いていた。
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