現実(リアル)-大切な思い出-
「だとしたら?別にどうでもよくない?」


「いやー、気持ちは判ると思ってさ。出来の悪い兄弟とか居たら、恥ずかしいもんな。けどさぁ、感謝はしないとダメなんじゃねぇの?だって出来の悪いお姉ちゃんと比べてもらえるから、お前は優秀で居られるんだろ?」


後から知った話だが、コイツはスポーツテストで俺に負けたのが許せなかったらしい。

勉強ができない分、運動には自信があったらしいのだが、その運動でさえ俺に負けたということが、かなり悔しかったようだ。

だけど、そんな理由を知っていたとしても、俺のとった行動は変わらなかっただろう。

その自信はある。


「きゃーっ!!」


先程まで騒がしかった教室が、一層騒がしくなる。

全員が俺達に注目した状態で騒いでいるが、このときの俺には、教室の様子など全く視界に入っていなかった。


俺は倒れた男に跨り、胸倉を掴んだ。
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