現実(リアル)-大切な思い出-
「ふざけるなっ!」

俺はそう叫ぶと、また男の顔を殴った。


「な、何してんだよ響!」

焦ったように、友人が止めに入る。

それを見て我に返った数人が、俺と男を引き離した。

「何の騒ぎだ!?」


教室に入ってきた先生は、驚いたように声をあげた。

そして、その騒ぎを起こした人物が俺であることを知ると、信じられないという顔をして目を丸くした。


放課後、学校に呼び出された母さんから、酷く怒られた。

あれほど怒られたのは、恐らく初めてだった。


理由を話そうとしない俺に、先生は困ったように頭を掻いていた。

だけど、友人達があの男に何か言ってくれたらしく、男は俺に怒ることもなかったため、結局その事件はただの喧嘩として処理された。
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