現実(ﾘｱﾙ)-大切な思い出-

家に帰った俺は、部屋に篭った。

食事の時間が来ても、食べる気にはなれなかった。

電気の付いていない部屋は、暗くて殆ど何も見えない。

俺はそんな中で、ベッドに腰掛けていた。


コンコンッ


唐突に響いたノック音。

返事をしないでいると、躊躇いがちにドアが開いた。
そして、すぐに部屋が明るくなる。

俺は眩しさに目を細めながら、ドアの方に顔を向けた。


「姉さん…」


意外な人物の登場に、俺は動揺した。

そんな俺を見て、姉さんは困ったように苦笑した。


「電気くらい付けなよ。それと‥はい、これ。わざわざ持ってきてあげたんだから」


そう言って、姉さんはベッドの前に有るテーブルにお盆を置いた。

小さな土鍋の蓋が開けば、湯気と共に雑炊が姿を現した。