現実(リアル)-大切な思い出-
「あたしが作ったんだけど、美味しそうでしょ?あ、お母さんには内緒ね。お母さんまだ機嫌悪くて、響に何か持って行こうとすると怒るんだよ?」


そう言って、声をあげて笑う姉さんの姿に、俺は驚いた。

いや、戸惑いの方が大きかったかもしれない。


「なん‥で…?」


「え?だってお腹空いてたら、寝れないじゃない」


「いや、そうじゃなくて…」


「何?いいから早く食べてよ。それとも何?あたしが作ったものじゃ、食べられないってゆーの?」


俺は、益々戸惑った。

こうして姉さんとまともな会話をするのは、3ヶ月ぶりだ。

それなのに、姉さんは普通に話し掛けてくる。

3ヶ月前と、同じように…。
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