現実(リアル)-大切な思い出-
俺を怒っているようには、見えなかった。

嫌っているようにも、見えなかった。

あんな酷いことを言ったのに、どうして‥そう思いながらハッとする。


思い返してみれば、姉さんは昔からそうだった。

いたずらをして姉さん1人が怒られたときも、泣きながら謝る俺の頭を、優しく撫でてくれた。

怒ってもおかしくないはずなのに、俺の方が可哀想みたいに‥俺を慰めるように頭を撫でてくれた。

姉さんは、そういう人…。


「食べるよ。だけど…」

俺はレンゲを手に取って、姉さんと視線を合わせた。

「何で雑炊?」


「え‥だって食欲ないから、ご飯食べに下りて来なかったんじゃないの?ホントはお粥にしようか迷ったんだけど、時間掛かりそうだったし、美味しくないじゃん?あたし、雑炊の方が好きだし」


姉さんらしいコメントに、思わず笑みがこぼれた。
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