現実(リアル)-大切な思い出-
「まぁ‥一生掛けて償ってくれりゃ、許す気にもなるかもな…」
「…」
「だから‥逃げんなよ?自分のしたことから‥そしてこの俺から…」
火月はやはり優しくて、その優しさ故に残酷でもあった。
そんな風に言われれば、逃げられない。
逃げられるはずがない。
頑張れば許してもらえるかもしれないチャンスを‥与えられてしまったのだから…。
「遺書‥今も郷花が持ってるのかな…?」
「あ?」
「返してもらわないと、いけないや」
「‥そんなもん、とっくの昔に破ったから残ってねぇよ」
視線を逸らせながら、気まずそうに呟く火月。
そんな姿に、俺は思わず小さく笑ってしまった。
「そっか‥なら問題ないね」
俺がそう言うと、火月が僅かに微笑んだように見えた。
◆
「いよいよ明日出発ね」
郷花の呟きに、俺はそっと頷いた。
火月と話をしたあの後、手術を受けることを決めた俺は、両親を呼び出した。
その場に居た火月を見て両親は驚いていたが、涙を流して火月を抱きしめる母さん‥そして見たこともないような表情をする父さんを見て、俺は漸く、2人は火月を一度も忘れたことがなかったのだと気付いた。
「…」
「だから‥逃げんなよ?自分のしたことから‥そしてこの俺から…」
火月はやはり優しくて、その優しさ故に残酷でもあった。
そんな風に言われれば、逃げられない。
逃げられるはずがない。
頑張れば許してもらえるかもしれないチャンスを‥与えられてしまったのだから…。
「遺書‥今も郷花が持ってるのかな…?」
「あ?」
「返してもらわないと、いけないや」
「‥そんなもん、とっくの昔に破ったから残ってねぇよ」
視線を逸らせながら、気まずそうに呟く火月。
そんな姿に、俺は思わず小さく笑ってしまった。
「そっか‥なら問題ないね」
俺がそう言うと、火月が僅かに微笑んだように見えた。
◆
「いよいよ明日出発ね」
郷花の呟きに、俺はそっと頷いた。
火月と話をしたあの後、手術を受けることを決めた俺は、両親を呼び出した。
その場に居た火月を見て両親は驚いていたが、涙を流して火月を抱きしめる母さん‥そして見たこともないような表情をする父さんを見て、俺は漸く、2人は火月を一度も忘れたことがなかったのだと気付いた。