マミーの恋人
つまり、マミーは頭がいいのだ。
わたしは中学受験に失敗して公立の中学に入ったけどね。


「まあ、お手並み拝見といったところですね」



スミレはアゲハメイクの付けマツゲをばさばささせて微笑んだ。



くっそ~スミレのやつ、いつか必ずガツンといってやるぜ。



わたしは下駄箱のふたを乱暴に開けた。



ばさばさ・・・と何かが落ちてきた。



ピンクと、水色と、紫の、花柄とハートと幾何学模様の柄がうすーく印刷された封筒が3通。



「おおおお、いまどきなんとベタな!ラブレターじゃん!!黒ちゃん」




「ちげーし。よく見てみろって。宛名はみんな女子だ」




「あ~黒ちゃんって男前だもんねえ。宝塚の男役って感じだし」



あのなあ・・・スミレ・・・あたしだってオトコの子に恋くらいするんだぜ。



そうなんだ・・・く~胸がいてぇよお・・・卒業してった先輩、如月聖也先輩。



2年先輩だったから、今は高2か。時々、メール来るんだよな。ごくたま~にだけど。



夕べもメールしたら試験がんばれよって、返事きたし。



でもさ、そういうのって付き合っているってことにならなよね。



ただの友達・・・のひとり。



あ~せつねぇ・・・ってか早く教室入らないとやばい。



始業のキンコンなりそうだし!!!



「スミレ、ダッシュだって!!」



わたしは勢いよく廊下を走り、一階の3-Aの教室に駆け込んだ。
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