マミーの恋人
キンコ~ン


まぁまぁ・・・となだめ役を買って出たのは、


始業のキンコンだった。


ガラリ・・・と音がして、担任のパパこと佐久間先生が入ってきた。


数学担当。温厚でメタボ気味なのがちょっと気になるけど、


優しくてどこかとぼけているところが女子に人気だ。


数学もできない子には、放課後残って指導してくれる。


生徒指導部なんだけど、服装とかあまりうるさく言わないし、


スミレのアゲハメイクもスルーするくらいに太っ腹だ。


「さて・・・ときょうで試験は最終日だからみなさん、がんばってくださいよ。

特にこの一学期の期末試験は都立の高校の内申書の点にかかわるからしっかりね。

健闘を祈ります」


と、パパは言った。


さあて、行きますか?わたしはモチベーションを徐々に上げていく。


心配するな!!すでにゴールは見えてるんだから!!!


1時間目の試験が始まった。


カリカリカリ・・・・し~~~ん


何も聞こえない。何も見えてこない。


試験は集中力と体力!!!


必死に動かす足が右手に変るだけ。


あとは頭に残っている知識をフル稼働させて


解答用紙にたたきつけるだけ・・・


ゴールは近い・・・。わたしは一番でテープを切る・・・


そういうイメージしか浮かんでこない。


そこに問題がある。


だから解くだけ。


陸上も、試験も一緒。

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