マミーの恋人
「そんなもんです」


とスミレは言った。


「あのね、笑ってもいいからね」


スミレはわたしの耳のそばに来てそっと耳打ちした。


息がくすぐったい・・・うざいな~こいつ・・・


「え~!!!あははは!!!」


聞いてわたしは思いっきりウケた。


「は、浜田亜美になりたかったってぇ~!!!」


「いや、違います。正確には、浜田亜美のようになりたかった、のです」


「え~、だってそれは無理だわぁ、いくらメイクしたって、浜田亜美は、もともと眼球が


他の人より大きいんだってよ、だから目がでかいんだって。整形して目頭切開したって、


浜田亜美にはならないよ~って整形外科のドクターがテレビで話してたよ~」


「わかっています」


「それにさぁ、スミレ、あんた素顔の方が断然かわいいと思うんだけど」


「へ?」


スミレは目を丸くした。


「まさか、黒ちゃんにカワイイなんていってもらえるとは夢にもおもいませんでしたわ」


「うん・・・去年まではスッピンだったからね。去年スミレと同じクラスだった子に
スミレのスッピンお宝画像を提供してもらったときに、だれ?このカワイイ子って聞いたら、あんただった」


スミレは笑った


「黒ちゃんにかわいいって言ってもらえて光栄の至りでございますことよ」


「であ、職員部屋でパパの叱責でも受けてまいりやしょうか」


スミレはそう言って、ひらり、と踵を返した。


ほんとに毒アゲハみたいなヤツ・・・何考えてるかわかんない・・・


でも・・・カワイイ・・・やっぱ、女のこだよなぁ・・・


わたしは半ば呆れ、半ば感心して、スミレの後姿を見送った。
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