マミーの恋人
マミーはカーステレオのスイッチを入れる。



マミーのダイスキなエリック・サティの「ジムノぺディ」が流れ出す。



このメロディを聴くと眠くなる・・・でもゆったりした曲調は、和んでいるときのマミーにぴったりだ。少しアンニュイな感じとか、繊細な不協和音とか。




マミー、ご機嫌なのね。ハンドルを握るマミーの横顔を眺めてる。




それにしても、きょうはなんだかこの曲が不思議とセンチメンタルに聴こえる。




なぜかしら?




それは、きっと「片思い」しているせいだ、とわたしは思う。



アンニュイな曲調が胸にきゅーんって迫ってくる。




あああ・・・如月先輩に会いたいなあ・・・




ピカソに行ったら偶然居たりして・・・ありえないよね・・・



なんでこんなに胸がきゅーんってするんだろう。



月曜日まで待てないよ。



でも自分からメールする勇気もないしなあ・・・



どうしたの?わたし!!



お腹も空かない・・・・



これがひょっとして、あの、恋の病ってヤツなのかなあ・・・




如月先輩・・・あいたいなあ・・・



わたしは如月先輩の情報を脳みその記憶を司る海馬から




手繰り寄せる。



はぁ~古い情報しかないよ。




最後に先輩に会ったのは、卒業式以来だもんなあ・・・・



やはり、高校生と中学生の差は大きすぎるなあ・・・



ぼんやりと考えていたら、マミーはピカソの近くの区立図書館の駐車場に停車していた。
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