〜花魁〜


「君がいない間…、僕はずっと近くで空の事を見て来たんだ。いつも無表情なのに、たまに見せる柔らかい表情も…携帯と睨めっこばっかりし続ける空も、全部見て来た!!それが、みんな君の為だと思うと…会った事もない君に、嫉妬ばっかしてた…。そんなに好きなら、何で連絡しないんだ?ってき、聞いた事もある…」




俺も、空がいなくなったばっかの頃は

携帯と睨めっこしてたな―…。

開いては閉じての繰り返しで、タメ息ばっかついていた

あの頃が…懐かしく感じる。




『…それで?』


「隣にいる事だけが幸せじゃない。好きだから離れなきゃいけない時もあるんだ。って言ってたよ。僕には、到底分からない事だけど。」




――…

―――……



その後も…散々、空との思い出話を聞かされて―…

この人、自慢話でもしに来たんだろうか?なんて不快感を覚える中、

ふと、ある事を思い出した。




『ひとつ、聞いてもいいですか?』


「なに?」


『ちょっと、待って下さい。』



そう言い、立ち上がると…ベッドの横の充電器に差しっぱなしになった

未だに解約できずにいる空の携帯を手に取り、再びさっきと同じ場所に座った。




ピッピッ…




メールボックスの保存欄を開き、あの…意味不明な文を見せた



『これ…どう言う意味なのか…知ってますか?限界って、何が限界なんやろ…?』



携帯の画面を見て、大きく目を見開いた後

少し泣きそうな顔をしながら…


「…今から、話そうと思ってたんだ。」


って、口を開いた。




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