〜花魁〜




今更、何を聞いても驚かないって思ってた。



だって、もう…この世界に空はいないんやから―…。





「2年半くらい前だったかな……」





神様なんて、ほんまにいるんだろうか?



もし、いるんなら…何で空ばっかりなんだろう…?



お互い、辛い思いは沢山して来た。



苦しい思いも、逃げ出したくなる思いも、数え切れない程してきた。



やけど、それよりも辛い思いを…空は1人で抱えて来たんや……。












「ある日、突然…空の体調が悪くなってね…。本人は、ただの風邪だから平気!なんて言ってたけど…日に日に、咳が酷くなって…余りにも辛そうだったから、無理やり病院に連れて行ったんだ……。」




可哀想だとか、悲惨だとか、悲哀的な一言で終わらすには

余りにも理不尽すぎて…

次第に、目の前にいる成田が歪んで見えなくなって行き

気付けば、両方の目から涙が溢れていた――。





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