〜花魁〜
「肺ガンだったんだよ―…。それから、直ぐに入院して色んな検査もして、他に転移してない事が分かった時は…助かるんだ!って本当に嬉しかった…。その後、薬療法と長時間にも及ぶ腫瘍の摘出手術もして、退院した日は…2人で大喜びして泣いたよ―…。
それなのに……
一年もしないで再発したんだ……。」
そう言った成田の目からも涙が零れていて…
思わず『なんで、その時に知らせてくれなかったんや?!』
って、無意識に怒鳴り散らしてた。
「絶対に、誰にも言うなって言われてたし…」
『信じられへん……。』
言うなって言われたからって、ほんまに黙ってるなんて…。
空だって、何でそんな大事なこと隠してたんや…?
『てか…そんな話、信じろと?』
「信じる信じないは、君の勝手だよ。だけど、僕は…嘘なんかついてないし、君のお母さんは知ってたと思うよ」
『はぁ…?』
えっ、何…?俺だけ知らなかったとか…?
「きっと…君に一番支えて欲しかったはずなのに…、それでも、君にだけは知られたくなかった空の気持ちが…君に分かるか?」
『分かる訳…ないやろが!!そんなモン…分かりたくねえよ!!』
バチン――!!!!!
『…………っ、』
突然飛んで来た平手打ちに、ビックリして成田の方を見ると
「お前みたいな…人の気持ちも分からない様な男の…どこが良かったんだろう―…。」
俺を睨みつけて、冷たい目で言い放つ成田は
さっきまでの穏やかさなんて、これっぽっちもない。
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