〜花魁〜



どーせ、俺に心配かけたくないとか…

豪語していなくなった手前、変な意地とか…

そう言った、全てのモノをひっくるめて

言わないでって言ったんやろ…?




それでもさ…、俺は…空に逢いたかったんだよ――。





「…すまん。」


『いえ…。』


「叩いて悪かった…。だけど、空の気持ちも分かってもらいたかったんだ。君なら、分かるだろう?」



素直に謝れる成田を、俺なんかより…全然大人だと思った。



俺や空に…成田みたいな素直さを、少しでも持ち合わせていたら

もう一度、逢えたのかな―…?




「ずっと会う事を拒んでいた空が…、君に会いに行くって言った時…どうして、僕は止めなかったんだろう?って何回も後悔した…。でも、動けなくなる前にどうしても光に逢って、伝えなきゃいけない事があるの!って、笑って言うから…悔しかった――。」



悔しかったと言う成田の顔が、ほんまに悔しそうに見えないのは

成田が、ほんまに空の事を思ってるからかな―…?




『結局…空が言いたかった事って、何だったんやろ…?』



ギリギリになって…ようやく、俺に伝えようとした事って、

何だったのかな?




「…これ。」



そう言って、目の前に差し出された

真っ白の柄も何もない、シンプルな封筒。




『何?これ…』




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