〜花魁〜
「…自分が死んだ後、君に渡してくれって…頼まれてた物だよ。渡すのに、随分時間がかかって申し訳ないけど…きっと、その中に答えがあるんじゃないか?残して逝く者として、残された君に出来る…唯一の方法だったんだと思う。」
まぁ、僕の勝手な解釈だけど。
そう付け加えて、目の前の半分だけ残った珈琲を一気に飲み干した成田。
『………。』
ほんまは今すぐにでも、糊(のり)を剥がして
中を見たいのに…
途中まで出かかった手を引っ込めて、思わず…拳を握った。
「見ないの?」
『見ても…いいのかな?』
「僕は、読むべきだと思う。これから、君が生きてく為のプラスになると思うけど?」
ゆっくりと封筒を手に取ると…、手紙の他にゴツッとした感触が
指先に伝わって来た――。
『これ…って…。』
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