繋いだ糸のその色を
「はい!?」

びっくりして変な返事をしてしまった。
勢いで閉じた本を慌てて机に戻す。

視線を上げると、そこに立っていたのは
今時珍しいサラ―ッと長い黒髪の女子。

うん。なんていうか。誰だっけ?

そこで静は自分の行動を思い返す。
なんか女子の机あさぐってるって良く考えると・・・いや普通に考えてやばい・・・?

「あのっ・・・コレはッ休んでるからプリントを入れてんの!」
静の焦ったセリフに、真二が顔をそらす。

「ふ―ん。そう」

その女子は、興味なさそうに呟いて
二宮の机を見つめる――というより睨み
再び静と真二に視線を戻した。

「大丈夫。
 二宮弥生には、貴方達がストーカー行為は言わないから」

冷たく言って
固まる静と、笑いをこらえる真二を置いて
その女子はツカツカと去っていった。

「で、何気になる事って?」
まだこらえている真二に、
静は半ばイジケながら、返事をする。

「二宮の下の名前。
 知りたかったから、教科書とか探してただけだよ」

結局、教科書は見つからなかったが
名前は知れた。

弥生――。あの女子がそう言った。

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