繋いだ糸のその色を
「いや別に好きだったとか好きだったとかそんなんじゃなくて・・・ちょっと興味がね・・・あったって―か・・・」

ブツブツ呟きながら
静は手をポテチの袋へ延ばす。

口に運んでるつもりか、さっきから地面にポテチがどんどん落ちていく。

「重症だな・・・」

哀れなモノでも見るような眼をして真二が呟く。 ま、実際哀れ。

屋上に風が吹き渡る。
下の階の実験室で、今頃二宮さんは相変わらずに一人で机に居るんだろう。

そんな事を思いながら、静は空を見上げる。

眩しいぐらいな青い空。
あ―あ、人がヘコんでるのがそんなに嬉しいか、この野郎。

っていうか、何で俺はへこまないといけないわけ?
好きだったの?

や、そんな事があってたまるか。


「あ。愛しの二宮だ」
真二が、下を見下ろし呟いた。

「やめろ 愛しのって・・・」
「え―何で?俺は可愛いと思うけど・・・
 お―い、二宮ァ――!
 授業中にそんなトコ居ていいのかー」

俺だって愛おしいって。
えええぇえ待て俺。落ち着け。
つか真二は何で「さん」つけてねえんだよ!!

まず授業中なのに二宮さんが、そんなトコ居るはず―――


「居るのかよ!!」

静は、鉄格子に身を乗り出す。

確かに居る。中庭の奥――人気の少ない場所。
誰かと話してる。
あいつらは――噂の転入生?

「何で早く言わなかったんだよ!」
「言ったけど俺・・・・・・」
「あ”ーッ 俺行く!」
「はっ?何で!?」

「だってアレ絶対、やばい雰囲気じゃん!!!」


静は階段を全速力で駆け下りる。
真二の声は今は無視だ。

その静の顔は、今日の空に似た笑顔だった。

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