繋いだ糸のその色を
二宮が振り向くと、窓越しに静が見えた。

思いっきり走ってきたので
静はかなり息切れしていた。

手を太ももに乗せて、やっと立てる状態。

なぜかちょっと涙目の二宮に
やっぱり転入生の双子。

「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」

あれ―なんかもっと
てめぇ何しに来た、とか羽時くん!みたいなそんなセリフはないの?

「あの・・・早く答えてくれない?
 俺今めっちゃ疲れてるんだけど・・・」

やばい。かっこわるい。


「邪魔が入った
 またね、二宮弥生」
沈黙を破ったのは、如月真帆だった。

「またね」という言葉を気にしつつ、二宮は慌てて頷く。

キッと静を睨むと、真帆は歩き出した。
続いて弟もキッと静を睨み、後を続く。

わぁ俺嫌われてる。

「・・・羽時くん、何で居るの・・・?」

急に聞かれ、少し考えいう。
「え―それは、二宮さんが襲われてるのかな―とか思って助けに来たんだよ」

二宮さんが黙ってしまった。
やば。退かれた。

「あの・・・何の話してたの?」
とりあえず話を変えよう。
そう思い、聞いてみる。

「私も良く解んないけど・・・夢がどうとか・・・」
「夢?」

「私も良くわかんないってば」
二宮は、少し高い位置にいる静を見上げる。
「良く解んないんだけど・・・たぶん助かった

 ―――有難う」

有難う。
二宮はそう言った。

うん、有難うか。うん、そうだね。



あー、えっと、結構良いかも。


二宮は、まだ何か良いたそうに俯いた。
「でも・・・・羽時くんは嫌い」

静の思いは、まだ届かなかった。

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