繋いだ糸のその色を
放課後の誰もいない校門で、静が柵にもたれ掛かっていると、真二が歩いてくるのが見えた。

「お―い 問題児。職員室はどうだった?」

静が叫ぶと、真二は笑った。
ちょっと困った笑みだ。あまりよろしくなかったらしい。

真二が小走りで、こっちに向かってきた。
二人は並んで歩き出す。

「どんなに否定しても信じてくれなくてさ、も―俺信用されてねえんだわ」

「そりゃ―な・・・毎日の行いを見てりゃ・・・」

授業はさぼるし
煙草吸うしその他色々。

「1週間の停学だってさ」

一人呟くように真二が言った。

今、真二が考えてる事はたぶん俺と同じ。
静は重い口を開いた。

「――――あいつらは、何を考えてる?」

あいつら――真帆と椿の双子。

「ね」と真二が頷く。
「俺が昔、チームに入ってたの知ってたし・・・なんか調べられてないか?」

チームっていうのは、まぁアッチの方向の事で・・・
あまり漬け込まないのが身のため。

「二宮さんとも・・・何かあるみたいだし・・・

 ただでさえ俺は誰が二宮さんに嫌がらせしてるの誰か解らないし―――」

保健室で聞こうとした。
でも聞けば、二宮はつらくなるだけだろう。

「え?解らないのお前?」
普通の観察力があり、ずっと前からもう解っていた真二は、眼を丸くする。

今にも叫びそうな静を押さえ真二は言葉を続ける。
「でも今はたぶん大丈夫だよ

 此処最近、俺らを事遠巻きに見てるし、俺とお前が怖くてなんもできねーさ」

俺ら――最近はずっと静と真二と二宮で行動している。というかこっちが一方的に付きまとっているのだが。

静は何気なく二宮を含めた3人を”俺ら”と真二が呼んだのが嬉しかった。

「・・・・そうだといいけどな」
言って静は足を止める。

此処で二人は道が分かれる。
真二がいつものように、「そんじゃ」と歩き出す。

「明日から停学だけど、何か合ったらすぐ連絡しろよ!!」

「解ったー ふらふらして捕まるなよー」

静がだるい返事を返すと
軽い笑い声が風に乗って聞こえた。


静も真二とは反対方向へ
足を歩ませた。
< 30 / 66 >

この作品をシェア

pagetop