繋いだ糸のその色を
二宮をグイッと自分の後ろへ引っ張って、静は女子等に眼を向ける。

「お前らなだよな 二宮さんに色々やってんの」

二宮が僅かに眼を見開き
女子等がおじけづく。

「あんたなんか・・・っ 別に怖くないし」
だがリーダー格の女子の一人は、怯まなかった。
――確かコイツは高原だっけ?
珍しく静は名前を思い出す。

「龍ノ原が居ないあんたなんか、全然怖くないし!!」

高原は、威嚇する犬のように怒鳴る。
「そっそうだよ!何強がってんの!?」
それに続いて他の女子等もわめき散らしだした。

俺もなめられたもんだよね

静は静かに微笑んだ。それは異様と言えよう。

「確かにさ、俺は実際弱いし気張るのなんか全然似合わない 本当空気読めないけどさ」

静はゆっくりと言う。
そのポケットからナイフを取り出しながら。

「俺が龍ノ原みたいに、優しくはないんだよ―――」

真っ直ぐと、高原にナイフを向ける。

高原なおさがらない。
でも焦っているのはバレバレだ。

「ナイフなんか出して何?
 どうせ何もできない癖に―――!?」

静が高原を壁に押し付け
ナイフを、思いっきり振り落とした。

眼を瞑る暇などなかった。
高原はすぐ耳の横でナイフが空を切り
ガッと壁に刺さるのを感じた。
頬からツ――ッと血が滴る。

「・・・・・・――あ・・・あっ」

高原の体が硬直している。
どうせ言葉も出ないんだろう。

「今度は、確実に心臓に刺すから」

口が開いたままで閉まらない高原と女子等に言って、静は呆けている二宮の手をとり歩き出す。


壁にはまだ、血のついたナイフが刺さっていた。
< 35 / 66 >

この作品をシェア

pagetop