繋いだ糸のその色を
グランドは茜色に染まり、乾いた風が吹き渡っていた。時は夕方、下校時間だ。
停学中の真二が居ない中、静はしばらく一人の下校となる。

だがこれは突然変異という名の奇跡だろうか?

静の隣には、控え目に手を前で合わせて歩く二宮が居た。

もしかしてコノ流れって放課後デート―――!?
まだまだ青い静は無知にもそう思って、興奮するのであった。

そんな静の横で、悲しいながら二宮は全くそう感じていない。
青春とは常に、空回りなのだから。

「―――羽時くんって下の名前、静って言うんだね」
教科書のネーム部分を見て、二宮が言った。

「二宮さんは、弥生って言うんですよね」
なぜか敬語の静が言うと、二宮は照れたように笑って

少し悲しい顔をした。

「私を”弥生”って呼ぶ人いないんだ――」

そう呟いて。

それは、たくさんの事を思わせた。
そして、問いてはいけない事を悟らせる。

じゃ、俺が呼ぼうか?

そんな事をすぐに言えるほど、甘い事でもなくて。
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