繋いだ糸のその色を
「つまりお前は、いつか自分が逃げださないような”戦わないといけない”状況がほしいわけ?」

真二が聞くと、顔をしかめながらも「そんなとこ」と頷く。

「―――でもよ静」

真二は静の眼を真っ直ぐ見る。

「例え、ヒーローが”戦う”っていう宿命にあったとして、逃げようと思えば逃げれるんだぜ?

 結局は、自分の運命を決めるのは
 ――――――ヒーロー自身なんだよ」

言った後、静は考えるように黙りこくってしまった。
沈黙が続いて、真二は自分の言った事に恥ずかしくなる。
何、高校にもなってヒーローについて語ってるんだ?

もはや、オヤジ達の会話だ。

「―――・・・そういえば、お前って二宮にしか『さん』づけしないよな」

しょうがないので、真二は話を大きくそらす。
ま、前々から気になってた事だし。

聞いた静は「あー そうかも」と今更気付いたようだ。無意識だったのか。

どう考えても、二宮は『さん』付けするような綺麗なお姉さんタイプではない。もっと可愛らしい、ちっこいタイプだ。

「せめて『ちゃん』付けでいけよ」
「二宮ちゃんってか?」
それは可笑しいだろう、と静が真二を見る。

「ちげーよ 弥生ちゃん☆」
ニッコリ笑って言った真二に、静は右ストレートを食らわしてやった。
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