繋いだ糸のその色を
そんな他愛もない、でも大切な報告時間は
いつも売店前→公園の道のりに行われる。

すっかり真っ暗になった公園は、いつもなら人一人いない。そういつもなら。

こんな日が暮れてるというのに、ギィ―・・ギイイィイ――とブランコが揺れる音がするのだ。
まさかの幽霊?
いや、今更そんな展開はこない。

それは見慣れた姿だった。
近づかなくとも、すぐにわかる。

静と真二がの足音に気付いたか、ブランコを揺らす足を止めて、彼女は顔を上げた。

「―――羽時くん・・・龍ノ原くん?」

彼女――二宮はいつものような反応をした。
こっちだって「奇遇だね、運命?」みたいないつものような反応をしようと思っていた。

だが、そんな余裕は静にも真二にもなかった。


「二宮さん・・・・その顔―――」

二宮が慌てて顔を手で覆う。その手を、すかさず静は抑えた。

静は胸がしめつけられるような思いがした。

二宮の真っ白な頬に、痛々しく残る殴られた後。
おそらく何回も殴られた――
掴んだ腕にも、赤い痣が生々しく浮かび、微かに震えていた。

このままこの腕を握りつぶせば、壊れてしまうかと思われる程に。

「―――何があったの?」

言った自分の声も、震えてるような気さえした。

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