繋いだ糸のその色を

次の日――いや、日は明けちゃったからその日、学校へ行くと、そこには二宮が机に座って居た。

静はひょうしぬけた。
正直言うと、二宮は学校を休んでしまうと思っていたから―――

教室に入ってきた静に気付くと、頬や腕にバンソウコウをペタペタ張った二宮が、「おはよ」とニッコリと昨夜の事は嘘のように笑った。

「おっ・・・おはよ!」と戸惑い丸出しに静が言うと、二宮はおかしそうに笑った。


その日は特に何もなく、静は二宮と過ごした。
その次の日も、また次の日も――

その間に、保健室の回数は増えていくし、如月の双子がずっと二人を監視しているのは気付いてるのに、それさえ忘れさせるぐらいに、二宮はいつも笑っていた。

今日は、真二の停学明けでもあって、いつものように何もなく平和に終わるんだと思っていた。

現実は、不安定な思春期のように、クルクル変わっていくのに―――



「龍ノ原くん、来ないね」

昼休み。
お弁当を口に含みながら、二宮が言った。

既に食べ終えた静は、いちいち真二の事を言う二宮に
ちょっとやきもちしながら、やっぱり真二が学校に
来ない事を気にしていた。

今日は来るって言ってたのにな―――

「あっ 私、昼休み体育委員だった!」

いきなりそう言って、二宮が席を立つ。

勿論、二宮自信が体育委員だどに候補したのではなく、流れ流され入れられちゃったわけだ。

だが、そんなトコも愛おしい静はかなりオヤジ化してきたようだ。

「じゃ 俺もいこっかな―」

そんな事言えば、前までメッチャクチャ嫌そうな顔をした二宮だったが、今は素直に
「うん」
と頷くだけ。

自分でも気付けない、小さな進歩は日々起きている。




その進歩でも、乗り越えられない壁はあるけど―――
< 43 / 66 >

この作品をシェア

pagetop