繋いだ糸のその色を
真二と傘の取り合いの結果
学校に着いた頃には、二人ともビッショリになっていた。

「何だ!お前らそんな濡れて・・・ッ
 ―――廊下に立ってろ!」

教室に入ったその瞬間、先生に怒鳴られた。
二人は反抗する気にもなれず廊下に出る。

「あ―あ やな時に来たな
 社会の川先だよ―」

真二が服の裾をギュッと絞り呟く。

川先は怒りやすい。すぐ廊下に出すしバケツ持たすし・・・
昭和かって―の。

「そーだ 真二、今日変な奴見たんだよ」
「変な奴?」
「なんか傘もささないでさー・・・・・」

ふいに横に向けた視線に
静やと真二と同じように、ポタポタと雫を垂らしながら廊下に立つ人影が眼に入った。

濡れて色の変わったセーラー服。
その手に持っているカメラ。

「居た・・・・・――」


あの少女が。

「は?居たって?」
分けが解らないと首を傾げる
真二の耳を静はグイッと引っ張り
小声でささやく。

「な、アイツ誰?横の?」
「誰って・・・同じクラスの二宮だろ
 俺らと同じ遅刻で立たされてるんじゃね?」

同じクラス――?
初めて見る顔だけど・・・

静の思想を呼んだか。真二が
「わっ もしかして今まで知らなかった?
 ありえねーッ」
とからかってくる。

そう言われても
ただでさえ人を覚えるのが苦手だってのに
こんな存在感の薄そうな奴・・・

静は二宮の顔をジーッと観察する。

あれ?以外と――可愛い?

短い髪が童顔をひきたてている。
かけた眼鏡・・・あー雫がついてるって

静の視線に気付いたようだ。
二宮がビクッと肩を動かす。

おっと―やりすぎたッ

慌てて眼を離す。

なんか良く解んないけど
変な奴・・・――
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