繋いだ糸のその色を
「――今から話す事は、私の妄想じゃないから、それは『覚悟』して」
真帆が、言う。小走りに進む足を止める事なく。

『理解』ではなく『覚悟』をしろ。

真二は小さく頷く。それを確認して真帆は話し始めた。
「人間は夢を見る。どんな内容にしろ、現実とは関係ない

 ―――けど そうじゃない場合もある」

いきなり、またミラクルな事を言い出す真帆。

「私達が『悪夢』と呼んでるんだど
 そいつは一種の妖怪、あるいは病気みたいなモノで、

 『悪夢』に取り付かれると、夢の中に引き釣りこまれてしまうのよ

 対者に、幸せな世界を見せて、夢の世界に招く。で、現実に戻れなくなる」

「現実に戻れなくなるって・・・・?」

「簡単に言うと、精神病者みたいな
 体は動いてるけど、意識は夢の中

 一生、夢の世界で生きる

 でも決まって『悪夢』にかかるのは、現実逃避だったり、現実に幸せを感じてない人―――

 だから・・・・」

最後に真帆は小さく言った。

「私達『夢潰し』が、『悪夢』を狩って、その人にとっての夢の世界を壊してまで、現実の世界に戻す事が

 本当に正しい事なのか、今でも解らないの―――」
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