繋いだ糸のその色を
秘密基地。

何かあれば此処へ来い――それが昔、ふざけて決めた、二人の約束だった。たぶん、何かの映画かなんかでそんなセリフがあったんだろう。

廃校の一角で、カツンカツンと足音が響いていた。

「でも まさか本当に約束通りとは・・・ね」
肩で息をし、真二は呟く。
「単純なんだよ 静は―――」

その後ろから、真帆と椿もやってくる。

「早期発見と言っても、早期治療とはいかなかったか」と、真帆がため息をついた。

―――静と二宮は居た。

だが、二人は固く眼をとじ壁によりかかっていた。その手を強く強く握り合って。

まるで繋いだ一本の糸みたいに。

彼らは、死んだかのような安らかな表情で眠っていた。

「―――二宮は、悪夢に中に今居るのか?」
真二が、二宮に歩み寄る真帆に問う。

勘がいいな。余計なぐらいに。
真帆は、二宮の眼を無理やり開いてその生気のない眼を確かめると「うん、ご名答」と呟いた。


「ただ惜しいのが、羽時静も共に、悪夢の中へ行ったらしい」


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