繋いだ糸のその色を
声のした方に振り返る。
そこにはやはり、二宮が居た。そして花のような笑顔を向けられる。

ハッとして、母さんの方を見るとそこには、ただの真っ白な世界なだけだった。

安心した。
はっきりと感じて、親不孝だな。と自虐する。

だがそれもつかの間―――いきなり二宮が静の腕を掴み走りだした。

「ちょっ・・・ちょっと二宮さん―――」
「ここはね、私の夢の中だよ」
聞こうとした事を先に二宮に明るい声で言われる。

夢の中―――
納得する。なんていうか納得している自分に拍手。


如月の双子の体育館の事
そして今居る夢の中


―――もう何でも信じきれる自分にアイタタタタ....

二宮の足がピタッと止まった。
「見て!」
そして輝いた笑顔を見せ言う。

いつから居たのか、そこには女性と男性が立っていた。
「私の父さんと母さんだよ 羽時くん」

あの、二宮を殴ったって両親―――?

静は無意識に睨むと、二宮の両親は優しく微笑む。意をつかれた。

その両親の元へ、二宮が駆けて行くと両親は父親の方が二宮の頭を優しく撫で、その横で母親が幸せそうに笑う。
「『ここ』では、父さんと母さんは優しいんだ」

今まで見た事のないような
笑顔で二宮が言った。

何も言えずに立ち尽くす静の腕をとって、また二宮が走り出す。

どれだけ走っても息が切れる事はなかった。
そしてまた、二宮はピタッと止まる。

今度は何だ―――
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