繋いだ糸のその色を
「前話したよね、カプセル」

 もしかして俺は、カプセルの中で眠ってて
 今見てるモノ全てが、機会が見せる幻想で――

 眼が覚めたら、全て無くなってる

アホみたいな妄想だった。
でも強く願った事のある願いでもあった。

きっと眼が覚めれば、
真二って良い奴だったなーって。
二宮さんみてーな人探そうって。

それで前までは良かったのに。

「俺は 二宮さんが夢だったら嫌」

どんなに幸せな夢の世界でも
その中で一緒に笑う彼女が夢ならば意味がない。

俺も嬉しければ、二宮さんも嬉しくて
俺も悲しければ、二宮さんも悲しくて

俺が幸せなら、二宮さんも幸せじゃなきゃ意味がないわけで、

結局のトコロ―――

二宮さんが高原に向ける憎しみも
両親に向ける理想もどうでもいいんですよ。

「生きる意味がないんならさ、」
もう押し付けがましくたって良かった。

俺はただ、とりあえず二宮さんに一緒に学校行って、お弁当食べて、普通の事がしたくて

戻ってきて欲しいから

一生懸命隠してるけど、むっちゃくちゃ焦ってるの気付いてる?


「俺のために生きてよ」

ずっと黙っていた二宮が、苦しそうに顔を歪めて
「それってなんか、自己中だよ」
と言って笑った。


世界がピエロが壊れていく。
でもきっと僕ら幸せ。
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