繋いだ糸のその色を
いつもこうなんだから。

後からまずいと気付いても
もう後の祭り。

だから何言われたってヘラヘラして
付いてくるアホ――そう真二みたいな。

そんな奴としか付き合えない。


「羽時くんて・・・・」

さっきよりさらに顔を赤くして
俯いた二ノ宮が
震える声で言った。

「人を傷つけるの好きなんだね・・・――」


言われても
しょうがないだろうか。

そのまま二宮は、席を立って
逃げるように教室を出て行った。

クラスの女子の数名がチラチラこっちを見ている。
クソ。みんじゃねーよ。

つ―か何だよこの感じは・・・・・・
まさかコレって
「――――俺の初恋?」
ハートを散りばめながら真二が、言った。

「違うから 勝手にセリフ言うな」
「え―でも静が女子と話してるんだも―ん
 後ね、今の時間はおはようじゃないから」

バッチリ最初から聞いてたらしい。

「でも酷くない?」
真二が、静の顔を覗き込む。
たぶん最後に二宮に言った一言だろう。

「でも事実だし」
静はうざそうに、真二の顔をバシンと叩く。

そう事実。

二宮は昼休みだってのに、一人だし
明らかに女子のどのグループにも入ってない

ハブられてる。

「そこが駄目なんだよねー ”羽時クン”は」
真二がわざとらしくため息をつく。

解ってはいる。
そんなの最初から認めてる。

でも―――

本心から静は大きくため息をついた。


「人間関係ってめんどい」
「おお。日本のキャッチフレーズになりそうだね」


その時
教室の奥で二人を見つめる二つの陰に
まだ彼らは気付いていない。
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