繋いだ糸のその色を
次の日は、人をからかうような晴天だった。
窓から見える景色をボ―ッと眺め、そして斜め前の席を見比べる。

「二宮さん来てない・・・・・・」
「お前、今日そればっか言ってるよな」

後ろの席の真二に言われ
振り返らずに「気のせいだよ」と返事をする。

何度席替えしても
静と真二の席は変わらない。
たぶん二人の出席態度に呆れた担任の仕業だろう。

こっちとしては、良いんだけど。

朝のHRが終わり
クラスメイトは次の教室に移動しだす。

そんな中、静だけ違う方向へ足を向けた。


―――二宮さんの机。


静は二宮の机をあさぐりだした。

「わ―・・・ お前何すんの?ストーカー?」
「うん・・・・・・昨日のアレ気になって・・・」

手が何か硬いモノにあたる。
取り出してみると、一冊の本。

題名がない。
パラパラと捲ると真っ白なページが広がっていた。

「これ、ノートじゃん
 ―――あ なんかある」
真二が静の手を制す。

真っ白なページに、色があった。
恐らく使い捨てカメラでとった写真。
それが規則的に張られている。

「これ・・・・・・―――壁?」

異様なようで
滑稽なようで

―――とても綺麗。


全ての写真に写る景色は
何も語らないただの壁だった。

ヒラリと、まだ張られてない一枚の写真が落ちた。

拾い上げてみると
雨に濡れた、藍色の壁。

僅かに電信柱が覗いている


あの時とっていた景色――


ふいに写真に黒い陰が落ちた。


「貴方達、二宮弥生とはどういう関係?」
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