She and I・・・
・・・あまりにもったいつけた言い方ばかりで混乱ばかりしていると思う。
実際、事態はそれほどひどいのだ。
(ここで局長はテーブルの上のコップの水を一口飲んだ)
とはいえ、諸君が今この映像を観ているならば、それは諸君が無事に帰路にいるということだ。
それもあともう少しというところまで戻ってきている。
おめでとう。
本当に良かった。
諸君が無事帰還してくれたことをほこりに思う。
そして、謝罪せねばならない。
申し訳ない。
(そう言って局長はテーブルに手をつき頭をさげた)
もちろん、諸君は観光旅行に出掛けたわけではない。
危険な任務であることを理解のうえで出航したことと思う。
しかし、誰が自分自身以外の身におこることを予測できただろうか。
さて、私が諸君の頭に浮かんだ疑問にまともに答えていないことにいらだちを感じているだろうか。
正直なところ、答えないのではなく、答えられないのだ。
諸君の身に起きたことを、今の私は正確には理解していない。
ただ、一番最初に謝罪すべきは私の任務だと考えたのだ。
ここから先は、現在の宇宙探査局局長かあるいはそれに代わる立場の人物が諸君に事態を説明してくれると考えている・・・・・
(再び局長はゆっくりと頭をさげた)