She and I・・・
インターホンを鳴らす。

「大宮研究所です」と、
女性の声が応えた。

「奈良と言います。大宮教授はいらっしゃいますか」

「奈良様ですね。お待ちください」

といってインターホンがプツと切れた。

どうやら事務員もいる立派な研究施設のようだ。

待つ間もなく、
入口の扉が開いた。

教授・・・と思ったのは先輩だとすぐに気が付いた。

「ご無沙汰しています」そんな挨拶をしていた。

「奈良くん・・・」
先輩はそう言ったきり絶句していた。

急に手をにぎりこむように包んで来て、
「本当にすまない・・・」
と言った。

何を謝られているのかわからなかったが、先輩のつらい気持ちが伝わってきた。

「とにかく入ってくれ」

ちょっとした受付スペースと女性事務員が二人ほどいる事務スペースを横に見て、
一番奥の所長室とプレートのかかった部屋へ通された。

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