She and I・・・
「僕も千夏さんのことを忘れたことはありません」
お母さんの泣き腫らしたまぶたを見ながら言った。
「あなた」
お母さんが僕から顔を教授の方に移し呼びかけた。
「うむ」
教授は難しそうな顔で頷き、
「奈良くん、ありがとう。君の気持ちは確かなものかね?」と訊いてきた。
「同じ船に乗っていた者たちには、いろいろな運命がふりかかりました。艦長は、自分の母親と同じほどの年齢になった奥さんと暮らすことを選びました。それが当然だというように・・・。操縦士のクリスの奥さんは、彼の帰りを待てませんでした・・・」
「・・・僕は、一番大切な千夏がどうなったのかわかりませんでした。でも、どんな運命でも受けとめるつもりでここへ来ました」
どんな運命でも・・・
でも、こんな運命が待っているとは思わなかった。