She and I・・・
「そんなところにいたのか、あがっていれば良かったのに」
買い物袋をぶら下げた大宮先輩が建物の脇から現れた。
「おじゃましています」
即座に立ち上がっていた。
「おかえりなさい。早かったわね」
彼女も立ち上がり、歩み寄りながら言った。
「外でお待ちになるとおっしゃるので、ご一緒していました」
「思ったより遅かったくらいなんだが・・・。まあいい。奈良君も家に入ろう」
「はい」と言って彼女を追って駆け寄った。
自然に買い物袋の一つに手を伸ばす彼女をみて、
「私も持ちます」と言ったが、
「君はお客なんだから」と渡してもらえなかった。
玄関の前に立つと、ちょうど階段を一人女性があがってきた。