She and I・・・
「実は船外活動用のロボットアームの改良を手掛けていて、テストオペレーターを息子にやらせていたのだが、冬雄がもっとふさわしい人物がいるという」

二人が僕を見た。

「そういうことなら、是非会ってみたいと冬雄に今日のセッティングさせたんだ。とんだ急用が入ってしまったが間に合って良かった・・・」

「・・・君は実に素直なオペレートをする」

意識したことはなかった。

「どうだろう。学業に支障が出ない範囲で開発に協力してもらえないだろうか」

「協力とおっしゃられても・・・」

「なに、難しいことはないんだ。重要なのは守秘義務を守ってもらうことくらいで、ソフトがバージョンアップされたらここに来てシミレーターを操作してレポートを作成してくれるだけでいい」

”ここに来て”という教授の言葉で彼女の顔が何故か浮かんだ。

「実機の試作機が仕上がった場合にもテストオペレートしてもらうが、それはそれほど頻繁ではないだろう」

「とにかくたまに遊びに来てくれるような感覚でいいんだ。今日のように」

「わかりました。是非やらせてください」

とても意義のあることのように思われた。

何より、ここにまた来る”口実”が出来た・・・
なんの?


「もうひとつ頼みがあるんだ」
今度は先輩だ。

「妹の家庭教師にならないか?」
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