She and I・・・
--実は今までは僕が千夏の勉強をみてきたんだ。

彼女は塾のたぐいが苦手でね。

ところが僕はご存知のように宇宙探査局への入局が内定している。

あくまで内定であって、このあと正規の試験を受けねばならない。

父親のおかげで入局できたのだとは思われたくないので、試験ではしっかりと点をとりたいと考えている。

だから自分の勉強で手一杯になるから、千夏にまで目がまわらないと思う。

我々の学校は現役生が独学で入るのは、少し難しいだろう?

今年入学した君は、受験を突破したばかりだし、むしろ僕よりも最新のノウハウを知っていると思うのだが--

「どうだろう?」

先輩はながながと僕にやってほしい理由を述べたけど、本当はそんなもの必要なかった。

「僕につとまるのなら、ご協力させてください」
断るつもりはなかったからだ。

「そうか、ありがとう」

--こうして僕は、ロボットアームのテストオペレーターになり、大宮千夏という女性の家庭教師になったのだった。
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