She and I・・・
★15★ ~星・ヒメとヤマト
--僕は、故郷からひとつ面白いものを持ち帰っていた。
近くになるとエンジンを切って惰性で走って来るのに、彼女は何かを聞き付けて、いつも木戸のところまでやって来る。
木戸を開けて、庭にバイクを押し進めて停めた。
「お帰りなさい」
と彼女は言った。
「ただいま」
と言いながら、ここは自分が”ただいま”という場所なんだろうかと思い、大宮家の建物を眺めた。
最初に訪れてから、一年が過ぎていた。
二度目の夏。
今年は夏休みに入ってすぐに帰郷して、親に顔を見せた程度で戻ってきた。
なにせ、受験生の家庭教師なのだから。
受験生にとって勝負の夏。
勝負の夏を無駄に過ごす訳にはいかない。
僕は日毎に大きく育つ彼女への気持ちを押し隠しながら、彼女から見た”兄の後輩”という立場を必死で守っていた。
「暑いでしょう?早く家に入って」
「その前にここで渡すものがある」
「なになに?プロポーズの指輪?」
顔が笑っている。どこまで本気で言っているのだか・・・。
脱力するとともに、気持ちを押さえているだけに少し怒りの気持ちも沸いて来る。
またその様子を見て、
「あれ?怒った?何で?」
と無邪気な顔で訊いてくる。
・・・憎めない。
近くになるとエンジンを切って惰性で走って来るのに、彼女は何かを聞き付けて、いつも木戸のところまでやって来る。
木戸を開けて、庭にバイクを押し進めて停めた。
「お帰りなさい」
と彼女は言った。
「ただいま」
と言いながら、ここは自分が”ただいま”という場所なんだろうかと思い、大宮家の建物を眺めた。
最初に訪れてから、一年が過ぎていた。
二度目の夏。
今年は夏休みに入ってすぐに帰郷して、親に顔を見せた程度で戻ってきた。
なにせ、受験生の家庭教師なのだから。
受験生にとって勝負の夏。
勝負の夏を無駄に過ごす訳にはいかない。
僕は日毎に大きく育つ彼女への気持ちを押し隠しながら、彼女から見た”兄の後輩”という立場を必死で守っていた。
「暑いでしょう?早く家に入って」
「その前にここで渡すものがある」
「なになに?プロポーズの指輪?」
顔が笑っている。どこまで本気で言っているのだか・・・。
脱力するとともに、気持ちを押さえているだけに少し怒りの気持ちも沸いて来る。
またその様子を見て、
「あれ?怒った?何で?」
と無邪気な顔で訊いてくる。
・・・憎めない。