She and I・・・
ウエストポーチの中から、タオルで緩くくるんでいたモノを取り出す。
「お土産」
「え?」
「いなかで捕まえた」
「生きてるの?」
「うん」
手の上には甲羅に閉じこもったカメがいた。
「うわー。ありがとう。一人でかわいそうだなと思っていたの」
「けんかしないといいんだけど」
「広いからたぶん大丈夫」
そう言って彼女は僕の手からカメを受けとった。
「名前つけていい?」
「いいよ。お土産だし」
「じゃあね、ヤマトにする」
「オスかどうかわからないよ?」
「いいの。きっと男のコよ。ヒメのお婿さんになってもらうの」
ヒメとはもともと大宮家にいるカメだ。
「そのうちこの池では狭いくらいにカメでいっぱいになるかも。ヤマトとヒメの家族で」
そう言うと彼女はカメ--ヤマト--を地面に下ろし、ベンチに腰掛けた。
見上げているので、僕も隣に座った。
二人並んで黙って見ていると、
しばらくしてヤマトが甲羅から首を出した。
ゆっくりと長く首を伸ばして、あたりの様子をうかがっている。
またしばらくじっとして見ていると手足を甲羅から出して池の方に歩みはじめた。
水面に顔をつけて、少し飲んだあと、ぽちゃんと池に入った。
彼女と顔を見合わせた。
「ここで暮らすことに決めたみたいだね」
「突然連れて来られて驚いてるかしら?」
「そうだね。僕に捕まった時点で彼の運命が決まったんだ」
「そうかしら。運命なら最初からここに来ることになっていたのよ。奈良さんに捕まる運命だったの。きっと」
「ここに来る運命・・・か」
「そう。・・・人と人の出逢いも運命よね・・・」
そう言って彼女は僕の顔を見つめた--
「お土産」
「え?」
「いなかで捕まえた」
「生きてるの?」
「うん」
手の上には甲羅に閉じこもったカメがいた。
「うわー。ありがとう。一人でかわいそうだなと思っていたの」
「けんかしないといいんだけど」
「広いからたぶん大丈夫」
そう言って彼女は僕の手からカメを受けとった。
「名前つけていい?」
「いいよ。お土産だし」
「じゃあね、ヤマトにする」
「オスかどうかわからないよ?」
「いいの。きっと男のコよ。ヒメのお婿さんになってもらうの」
ヒメとはもともと大宮家にいるカメだ。
「そのうちこの池では狭いくらいにカメでいっぱいになるかも。ヤマトとヒメの家族で」
そう言うと彼女はカメ--ヤマト--を地面に下ろし、ベンチに腰掛けた。
見上げているので、僕も隣に座った。
二人並んで黙って見ていると、
しばらくしてヤマトが甲羅から首を出した。
ゆっくりと長く首を伸ばして、あたりの様子をうかがっている。
またしばらくじっとして見ていると手足を甲羅から出して池の方に歩みはじめた。
水面に顔をつけて、少し飲んだあと、ぽちゃんと池に入った。
彼女と顔を見合わせた。
「ここで暮らすことに決めたみたいだね」
「突然連れて来られて驚いてるかしら?」
「そうだね。僕に捕まった時点で彼の運命が決まったんだ」
「そうかしら。運命なら最初からここに来ることになっていたのよ。奈良さんに捕まる運命だったの。きっと」
「ここに来る運命・・・か」
「そう。・・・人と人の出逢いも運命よね・・・」
そう言って彼女は僕の顔を見つめた--