そして僕に雪が降る(短編)
なんとなく。なんとなくだ。


おかしいよね。びしょ濡れになっているからもう傘なんて意味ないのに。


でもそんな僕を見て、彼女は笑った。彼女は笑ったんだ。まるで天使のように。


きっとこの時にはもう、彼女を好きになっていたんだと思う。


それからはあっという間だった。


メールアドレスと電話番号を交換して、毎日メールをして、週に一回だけ電話をする。


僕は精一杯彼女にアプローチをした。今まであまり女性との付き合いがなかった十八歳の僕の、精一杯のアプローチ。


きっと迷惑だったかもしれない。気持ち悪かったかもしれない。


でも僕はやめなかった。彼女が、そう言わなかったから。


そうして僕の思いが通じて、一年という時間をかけて僕たちは付き合うことが出来た。


彼女の家の近くの公園。確かこんな寒い季節だったんだ。


唇が緊張でかさかさで体がぶるぶる震えていたのを今でも覚えている。


そこで僕は告白したんだ。


二人で色んな所にいった。色んな話をした。初めて、人を愛するということを知った。


永遠のようで、一瞬で時間は過ぎていった。


僕を駆け抜けていく思い出たち。


< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop