すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
何にも知らない、コドモだったんだ・・・
スキの意味なんて、知らなかったんだ・・・
ただひたすら、拓海の背中を追いかけていたから――
入学して2ヶ月が経過したある日、それは起こった。
「佐々木さーん!
今日の日直って、佐々木さんだよね?
塚本先生が、英語科準備室に来てって言ってたよ」
教室に入って来た、別のクラスの女の子に呼ばれて。
「えっ、そうなの?
ワザワザありがとう!」
あたしは席を立って、向かおうとしたのだけど。
「ねねっ、私も用があるからさぁ!
良かったら、一緒に行かない?」
「うん、いいよー!」
そうして彼女と話しながら、準備室へと向かったあたし。
初めて話したけれど、明るい子ですぐに打ち解けていた。
何も知らないのは、無邪気すぎたあたしだけ・・・