すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
どうして名前を知られているの?
などと、呑気に考えてはいたものの。
何となく身の危険というか、恐怖を感じていた。
だけれど、威圧感に包まれた準備室を抜け出そうにも。
ドアの入り口では、一緒にやって来た子が塞いでいて。
そして前方からは、幾つもの眼があたしを睨んでいる。
なんでなの・・・・?
視線を定められないあたしは、伏目がちに俯いてしまう。
「アンタ…、使用人のクセに何様のつもり?」
「え・・・」
「ただ隣に住んでるからって・・・
東条君の側をチョロチョロしないでくれる?」
あたしの名前を呼んだ人が、憎らしそうに言ってくる。